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【専門家監修】厚労省が「濫用のおそれのある医薬品」の範囲の拡大を告示。登録販売者への影響は?

【専門家監修】厚労省が「濫用のおそれのある医薬品」の範囲の拡大を告示。登録販売者への影響は?

【専門家監修】厚労省が「濫用のおそれのある医薬品」の範囲の拡大を告示。登録販売者への影響は?

厚生労働省は、OTC(一般用医薬品)のうち濫用のおそれがあると指定している製品の一部について、2023年4月から指定範囲を拡大することを発表しました。

OTC(一般用医薬品)の濫用は、かねてから問題視されていました。本記事では、濫用のおそれがある医薬品について、現状と4月から求められる対応、登録販売者として注意すべきポイントを解説します。

目次

濫用等のおそれのある医薬品の範囲拡大が決定!

濫用等のおそれのある医薬品の範囲拡大が決定!

濫用等のおそれがある医薬品について、2023年2月時点でのルールと4月からの変更点を確認しましょう。

濫用等のおそれのある医薬品についておさらい

濫用のおそれのある医薬品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第十五条の二の規定に基づき濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」により指定されている成分を含んだ製品が該当します。

同法律により指定されている成分は

  • エフェドリン
  • コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
  • ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
  • ブロムワレリル尿素
  • プソイドエフェドリン
  • メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内容液剤に限る。)

の6種類です。

2023年4月以降の変更点

2023年4月以降は、以下のとおり指定範囲が拡大されます。

改正後
改正前
1.エフェドリン
1.エフェドリン
2.コデイン
2.コデイン(鎮がいたん薬に限る。)
3.ジヒドロコデイン
3.ジヒドロコデイン(鎮がいたん薬に限る。)
4.ブロモバレリル尿素
4.ブロムワレリル尿素
5.プソイドエフェドリン
5.プソイドエフェドリン
6.メチルエフェドリン
6.メチルエフェドリン(鎮がいたん薬のうち、内用液剤に限る。)
引用:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第十五条の二の規定に基づき濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」の改正について

水和物およびそれらの塩類(以下、指定成分)を有効性として含有する製剤(以下、指定医薬品)が、濫用のおそれのある医薬品に該当します。

指定医薬品は、指定成分を有効成分として配合している製剤です。生薬を主たる有効成分とする製剤は含まれません。

ジヒドロコデインセキサノールおよびリン酸ヒドロコデインサキサノールは、ジヒドロコデインを含む混合物です。これらを有効成分として配合している製剤は、指定医薬品として扱います。

参考:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第十五条の二の規定に基づき濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」の改正について

濫用のおそれのある医薬品の取り扱いが注視される理由

濫用のおそれのある医薬品の取り扱いが注視される理由

関係法令の変更を伴うほどの対応がなされるレベルで医薬品の濫用が問題視されているのは、OTC(一般用医薬品)の濫用が薬物依存に進展する可能性があることと、10代の濫用が臨床現場で問題視されているためです。

OTC(一般用医薬品)の濫用が薬物依存につながるおそれがある

「薬物依存は、覚醒剤や大麻を使うとなるものだ」と考えられがちです。ところが実際は、OTC(一般用医薬品)を本来の用途以外で使用することによる薬物依存の症例も、あとを絶ちません。

軽度な不調であればOTC(一般用医薬品)を使用して健康管理しようという、セルフメディケーションの考えが浸透しました。OTC(一般用医薬品)は処方せんがなくてもドラッグストアや調剤薬局などで購入可能です。つまり、本来なら健康を守るための取り組みが、OTC(一般用医薬品)の誤った使い方により過剰服薬、中毒、依存症拡大につながっているのです。

また、OTC(一般用医薬品)の濫用による副作用も報告されています。

本来の目的以外にOTC(一般用医薬品)を使用する10代が急増

精神科における薬物関連障害の実態を知る手がかりに、「全国の精神科医療施設における薬物関連疾患の実態調査」があります。これをまとめたレポートによると、2014年・2016年・2018年の調査結果を比較すると、主たる薬物として危険ドラッグを使用した症例が大幅減少したのに反比例するように、OTC(一般用医薬品)を使用した症例では増加傾向が見られたとのことです。

濫用患者の多い上位5種類(覚醒剤、睡眠薬・抗不安薬、揮発性溶剤、OTC(一般用医薬品)・大麻)の薬物関連障害患者はどのような薬物を使用しているのか年代別に調べたところ、10代の薬物利用患者のうち、OTC(一般用医薬品)を使用している割合が約4割も占めていることが判明しました。

同レポートでは、OTC(一般用医薬品)関連障害患者の主たる症状は「やめられない、止められない」とも称されるくらいOTC(一般用医薬品)を依存的に使用してしまうことと、OTC(一般用医薬品)は10代の薬物関連障害患者が主に使用している薬物であると指摘しています。

同レポートをまとめた精神科医の所見として、薬物依存外来を受診する薬物濫用や依存が認められる患者はそれぞれが生きづらさを抱えた10代であることと、自身の気持ちを相談できないことから閉塞感を感じてOTC(一般用医薬品)の目的外使用に走っている可能性を指摘しています。

参考:厚生労働省「濫用等のおそれのある市販薬の適正使用について」

登録販売者が濫用のおそれのある医薬品を扱う際にすべきこと

登録販売者が濫用のおそれのある医薬品を扱う際にすべきこと

濫用のおそれがある医薬品は、販売に際して適正な数量の販売が求められます。販売時には

  • 氏名と年齢(若年者への販売時)
  • 他店舗からの購入状況
  • 購入理由(適正利用として認められる以上の数量を購入希望の場合)

を確認します。適正利用をするにあたって必要と認められる数量は、1人1包装(1箱、1瓶等)が原則です。使用目的が異なる医薬品を販売する場合、用途ごとに1人1包装ずつの販売が適当です。

ドラッグストアや調剤薬局の店頭で、登録販売者に求められる取り組みを確認しましょう。

声かけ

該当のOTC(一般用医薬品)を購入希望のお客さまに対する声かけは、とても重要です。同一商品を大量購入しようとしている、頻繁に同じ商品を購入しているお客さまには、相手の体調を気遣いつつ反応を見ながら声をかけましょう。顔を覚えられていると感じれば、後ろめたい使い方をしている方は来店しにくくなるかもしれません。

「店頭での声かけが必要なことはわかっているけれど、お客さまに不愉快な思いをさせてトラブルに発展させたくない」という気持ちから、登録販売者が負担を感じることもあります。OTC(一般用医薬品)を複数個購入するお客さまに対して必要な確認を実施していることを、ポスター等で掲示しておくとお客さまとのトラブル防止に役立つでしょう。

陳列

指定されている成分を含んだOTC(一般用医薬品)は、現物を店頭に陳列しないなどの工夫も必要です。頻繁に購入しているお客さまがいる場合には、購入したいと相談されても理由を説明して断ることができます。

現物の代わりに空箱やカードを陳列したり、「購入希望の方は従業員にお知らせください」と書いたポップを掲示したりすることで、登録販売者もしくは薬剤師がお客さまと自然に接客できる流れを作れます。

表示

お客さまに対して声かけをする場合があることをポスターで掲示するのと同じように、表示方法を工夫して、店舗のスタンスをお客さまに伝える方法も有効です。

たとえば、敢えて販売制限を設けたうえで、そのことをポップで注意喚起を促す方法があります。

あるいは、「当店では、販売対象、販売個数等は〇〇(保健所や薬務課等)の指導により適正に医薬品を販売しております。」というポップを作成し、商品棚に掲示するのもよいでしょう。

陳列および表示

ご紹介した方法のあわせ技で、店頭では空箱やカードによるダミー販売をしているOTC(一般用医薬品)を購入希望のお客さまに対して、登録販売者もしくは薬剤師が接客する方法です。

言動や過去の購入履歴などから販売に問題があると判断した場合、商品棚のポップや店頭のポスターを見せながら接客できます。

情報共有

OTC(一般用医薬品)の濫用が疑われるお客さまの特徴などの情報を、店舗の従業員や外部機関と連携し共有しましょう。

店舗によっては、監視カメラを活用して該当するお客さまの来店時には休憩室でアラートが鳴る、濫用のおそれのある医薬品を一定数以上購入したお客さまの情報を近隣店舗で共有する、濫用が疑われるお客さまの特徴と購入薬剤などの情報を地域の薬剤師会と共有するなどの工夫をしています。

対象商品の把握

自店舗で取り扱うOTC(一般用医薬品)のうち濫用が懸念されるOTC(一般用医薬品)の有無と配置場所を確認するだけでなく、一覧を作ってショーケースの取り出し口付近に貼っておくと、対応する登録販売者や薬剤師がすぐ確認できて便利です。

パッケージ等のJANコード付近に目印を付けておく方法もあります。目印のある商品一覧と接客販売時の対応方法をまとめたマニュアルをレジ付近に設置しておくと、接客販売時に必要な対応を把握しやすいでしょう。

まとめ|濫用のおそれのある医薬品の取り扱い方の再確認と職場で情報共有に努めよう

本記事では、濫用のおそれのある医薬品について解説しました。2023年4月1日から指定成分の変更を受けて、ドラッグストアや薬局等現場での対応にも変化が生じるでしょう。

自店舗で取り扱う濫用のおそれのある医薬品の種類、取り扱い方法、接客から販売までの流れ、トラブル発生時の対応について再度確認し、従業員間での情報共有を進めましょう。

<監修>伊藤麻利奈氏

茨城県立水戸第一高等学校、東邦大学薬学部卒業。認定薬剤師。
4年間、薬剤師として調剤併設ドラッグストア(美容特化型店舗含む)に勤務後、渡英。
現在は医療記事監修や執筆業務に携わる。
英国現地の薬局にて勤務し、英国の医療制度について学んでいる。
観光大使、ミスユニバース地区大会のファイナリストを経験。
趣味は旅行、美容。興味があることは医療経済、資産運用、ジェンダー問題。

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