医薬品2類と3類が統合へ?「医薬品の販売制度に関する検討会」をわかりやすく解説【登販が知っておきたい最新ニュース】
医薬品2類と3類が統合へ?「医薬品の販売制度に関する検討会」をわかりやすく解説【登販が知っておきたい最新ニュース】
こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
医薬品の販売制度に関する検討会をきっかけに、医薬品2類と3類を統合する姿勢がみえてきています。統合により区分がシンプルになれば、お客さまへの情報提供もスムーズに進むでしょう。
本記事では、医薬品の販売制度に関する検討会の概要や2類と3類をまとめる理由、デジタル技術の導入に伴い登録販売者が意識すべきこと、今後登録販売者が接客時に意識したいことなどを紹介します。
目次
- ・【登販要チェック】医薬品の販売制度に関する検討会とは?
- ・【登販必見】なぜ医薬品2類と3類の統合を検討するのか
- ・医薬品の販売制度に関する検討会が登販にもたらす影響
- ・登録販売者が現場で意識したいこれからの接客
- ・まとめ|登録販売者は薬のエキスパートとしてお客さまをサポートしよう
【登販要チェック】医薬品の販売制度に関する検討会とは?
厚生労働省が開催する医薬品の販売制度に関する検討会では、医薬品販売制度についての見直しやあり方について議論がされています。
主な検討内容は以下のとおりです。
- 要指導医薬品、OTC(一般用医薬品)等の区分のあり方
- 濫用等のおそれのあるOTC(一般用医薬品)の適正な販売のための方策
- 要指導医薬品のオンライン服薬指導のあり方
- 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売のあり方
- 薬剤師等による遠隔での情報提供の可能性
- 管理者による遠隔での店舗管理の可能性
- 遠隔での情報提供や店舗管理を踏まえた医薬品販売業の許可制度のあり方
医薬品の販売区分や、デジタル技術を利用した販売方法などがメインで議論されています。
医薬品販売制度を見直す会
医薬品の販売制度に関する検討会は、簡単に説明すると医薬品販売制度を見直す会です。2023年10月30日までに9回開催されています。最新の第9回目では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品・デジタル技術を活用した医薬品販売・販売区分・濫用のおそれのある医薬品などについての検討がおこなわれました。
検討会での零売に関する議論を受け、今後は法整備も含めた検討が進められていくと予想されます。また、デジタル技術の活用により、人口減少や地域格差へ対応する販売・流通の改革が期待できるでしょう。
デジタル技術活用の促進など医薬品の流通に関する取り組みも
過去テーマの中には、医薬品の販売にデジタル技術を取り入れることで地方や過疎地域へ医薬品を流通させる動きも見られました。医薬品の販売制度に関する検討会は、時代に合わせて医薬品の販売方法やあり方を見直す会ともいえます。
少子高齢化による人口減少に備えて、人口が減少する地域でも人々がOTC(一般用医薬品)に手軽にアクセスできるよう、インターネット上での情報提供や相談対応、販売について議論が進められています。また、非対面での実施に伴い、濫用のおそれのある品目は見直しが必要との意見も出されています。今後も、これまでと同様に安全性と有効性を担保する取り組みの継続が求められるでしょう。
医薬品2類と3類が統合される話題も
医薬品の販売制度に関する検討会では、OTC(一般用医薬品)のリスク区分に関する変更が提案されています。現在の第1類を「薬剤師が販売する医薬品」、第2類と第3類を「薬剤師または登録販売者が販売する医薬品」の2つに区分するというものです。
現在の医薬品販売制度は、例外のカテゴリが増え複雑化しているため、シンプルな制度設計に見直した方がよいとの意見があります。薬剤師と登録販売者がそれぞれ販売する製品を明確にし、情報提供が義務でない第2類と第3類の区別を廃止すべきとの声もあがっています。
【登販必見】なぜ医薬品2類と3類の統合を検討するのか
なぜ、医薬品2類と3類の統合が進められ始めたのかを解説します。医療費削減のために、軽い症状であれば病院を利用するのではなく、一般医薬品を活用しようという流れや、薬の知識が少ないお客さまでも自分で薬を選びやすくするためなど、さまざまな理由から統合が検討されています。
零売薬局の増加
処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売することを零売といいます。零売薬局とは、零売をおこなう薬局を指します。医薬品の分類は細かくわかれていて、医療用医薬品の中でも医師の診察を受けて発行される処方箋が必要な医薬品は処方箋医薬品です。処方箋が不要な医療用医薬品を処方箋医薬品以外の医療用医薬品としています。
医療費の増加が問題視され始めている昨今、政府は医療費抑制のための政策をいくつも打ち出すようになりました。その一つがセルフメディケーション税制です。軽い症状の病気であれば病院を受診せずOTC(一般用医薬品)を利用する流れができ、ドラッグストアの需要が高まっていると考えられます。また、処方薬とOTC(一般用医薬品)の中間の製品を求める購入者ニーズが増えたことにより、零売薬局が徐々に増加傾向にあります。
お客さまが薬を適正に活用するために検討されている
医療費削減を目指してOTC(一般用医薬品)の積極的な利用を後押しする昨今、一般の消費者にも薬を選択するための知識が求められています。医師の診断に基づいた処方箋があれば、自分で薬を選ぶ必要はありません。医者が症状や体調に合った薬を選択してくれます。
しかし、ドラッグストアでOTC(一般用医薬品)を購入する際は、医師からのアドバイスを受けられません。自己判断で購入し、不適切な服用をするリスクもあるでしょう。適切な薬を選択できるよう、店舗には薬剤師や登録販売者が配備されています。誤った薬の選択や服用を防ぐためにも2類・3類を統合して、薬剤師や登録販売者などのアドバイスを受けて適正な薬の活用を目指すことが大切です。
OTC(一般用医薬品)を一般消費者が正しく選択するために、アドバイスをおこなえる登録販売者の需要が増えてきています。
医薬品の販売制度に関する検討会が登販にもたらす影響
こちらでは、医薬品の販売制度に関する検討会の議論や提案内容が登録販売者にもたらす影響を紹介します。今後、制度の変更がおこなわれた際に必要な知識やスキルを身に付けられるよう、考えられる可能性を確認しましょう。
デジタル技術の導入を意識しておく
第6回の検討会でおこなわれたようにデジタル技術の推進は今後進むと予想されます。たとえば、デジタル技術を用いた店舗の遠隔管理です。資格者を置いて管理をおこなう店舗と受け渡しのみをおこなう店舗を、デジタル技術を用いて連携させます。受け取り店舗に出向いたお客さまに対して、管理店舗の資格者が遠隔で情報提供をおこなったうえで、医薬品を受け渡す仕組みです。また、お客さまが自宅からオンラインで相談をおこない、受け取り店舗に出向くというフローも考えられます。
遠隔管理が実施されれば、相談や情報提供、在庫管理、保管状況の記録、医薬品提供の記録などさまざまな場面でデジタル技術が必要になると考えられます。そのため、登録販売者は業務内でデジタルデバイスを使ったりIoTが進んだりすることを意識するとよいでしょう。
薬の販売はドラッグストアや薬局以外にも広がる
オンラインでの服薬指導や情報提供が進めば、薬の販売範囲が拡大し、ドラッグストアや薬局以外にも広がる可能性があります。薬の販路が広がることで、一般医薬品の知識を持つ登録販売者の価値もあわせて広がると認識しましょう。
薬の危険性について把握が欠かせない
登録販売者は医薬品の効果・効能だけではなく、副作用などの危険性も改めて確認する必要があります。薬の販路拡大により、薬を購入するハードルが下がれば不十分な知識のまま購入されるケースも増えるでしょう。誤った使い方をされる可能性もあるため、登録販売者が危険性をしっかり理解し、購入者に対して伝えられるようにすることが大切です。
登録販売者が現場で意識したいこれからの接客
今後、登録販売者が現場で接客をおこなう際に押さえておきたいポイントを紹介します。OTC(一般用医薬品)を利用するお客さまが増えれば、その分誤った知識や扱い方により、十分な効果を得られなかったり、副作用の影響が大きく発生してしまったりなどの危険があります。登録販売者の接客によって服用後のリスクを減らすことが大切です。
薬の効能だけでなく副作用も確実に伝える
基本的な知識ですが薬には効果・効能だけではなく、副作用も存在します。たとえば、服用後に眠くなったり、倦怠感が出たりなどです。お客さまに情報提供する際は、ポジティブな効能だけを伝えるのではなく、服用後のリスクとして副作用の情報提供もおこなう必要があります。
効能・効果だけを伝え、副作用を伝えていないと、健康への影響が生じた際に適切な処置がとれません。症状の改善どころか、かえって悪化することもあります。登録販売者として薬の接客をおこなう際は、副作用の危険性も意識して伝えましょう。
適正量の服用をお願いする
今後、デジタル技術を活用していくうえでの懸念点として、購入者による薬の濫用が挙げられます。パッケージや添付文書に用法・用量が記載されているとはいえ、薬の購入後の使用量はお客さま自身で判断する必要があります。リスクを把握していないままだと、効き目が弱いからと服薬量を増やしてしまうおそれがあるでしょう。適正量で飲む重要性を、適正量を超えた服用で生じる危険性とともに理解してもらうことが大切です。
薬をすすめるだけでなくお客さまの立場に沿った対応をおこなう
お客さまから薬選びで相談を受けた場合、もちろんお客さまの症状や体調に合った薬のアドバイスをおこなうことが大切です。しかし、人によっては薬に頼らずとも、日々の生活習慣の見直しによって改善が図れる可能性もあります。そのため、形式的に薬を紹介するだけではなく、コミュニケーションをとりながら生活に関するアドバイスがおこなえるとよいでしょう。今後、お客さまの立場を考えたり、気持ちを察知したりできる接客が求められると予想されます。
まとめ|登録販売者は薬のエキスパートとしてお客さまをサポートしよう
登録販売者は、お客さまのお悩みを解決するために薬の知識が必要です。効能・効果だけではなく副作用も把握すると、お客さまへのアドバイス時に注意事項として伝えられます。服用後のトラブルを防ぐことにつながるでしょう。また、デジタル技術の活用が進めば、薬の知識だけではなく、デジタル技術を使いこなすスキルも必要です。
登録販売者として働いている中で、今後を見据えてデジタル技術を取り入れた形態の店舗へ転職したいと考える方もいるでしょう。アポプラス登販ナビでは、業界に詳しいコンサルタントによるサポートも受けられます。登録販売者としての転職をお考えの際は、ぜひアポプラス登販ナビをご活用ください。
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