【登販必見】受賞作品から学ぶ。店舗で役立つ受診勧奨・セルフメディケーションの取り組み例
【登販必見】受賞作品から学ぶ。店舗で役立つ受診勧奨・セルフメディケーションの取り組み例
こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
2023年に、「第18回セルフメディケーションアワード」が開催されました。ドラッグストアや薬局に従事する人々の資質を向上させ、自己啓発への動機づけをすること、企業間でのセルフメディケーション推進活動の競争を促進し、ノウハウを共有することが開催の目的です。
「薬局・ドラッグストアにおけるセルフメディケーションの推進について」「JACDS受診勧奨ガイドラインを活用した地域生活者への貢献事例について」「地域包括ケアへの対応、多職種・地域連携や在宅支援、地域生活者の健康支援等に関する取り組みと成果について」をテーマに、2023年3月1日から5月31日まで作品を募集していました。
230作品もの応募があった中で、グランプリやその他の賞を受賞した作品が「第18回セルフメディケーションアワード優秀作品集」に掲載されています。
今回は、これらの受賞作品を参考にしながら、登録販売者が受診勧奨をおこなう必要性や、具体的な取り組み事例をご紹介します。お客さまにとってより適切なアプローチができるよう理解を深めましょう。
目次
- ・登録販売者がおこなう受診勧奨の必要性
- ・セルフメディケーションの推進に登録販売者が必要な理由
- ・登録販売者がおこなう受診勧奨の取り組み事例
- ・登録販売者がおこなうセルフメディケーションの取り組み事例
- ・登録販売者がお客さまに聞くべき基本的な項目
- ・お客さまが声をかけやすい登録販売者になるポイント
- ・まとめ|事例を参考に受診勧奨・セルフメディケーションに取り組もう
登録販売者がおこなう受診勧奨の必要性
近年、医療費の増加が課題となり、セルフメディケーションの推奨が進んでいます。セルフメディケーションが進む中で登録販売者の存在は不可欠といわれていますが、症状によっては受診してもらった方がよい場合も見られます。
お客さまの中には受診すべきかの判断が自分では難しい方もいます。そのため、ドラッグストアや薬局においては、登録販売者がお客さまの情報をもとに、適切なタイミングで受診勧奨をすることが必要です。
セルフメディケーションの推進に登録販売者が必要な理由
現在、OTC(一般用医薬品)はドラッグストアやスーパーなど、さまざまな場所で販売されています。セルフメディケーションの働きかけで、お客さまが自分の体を管理しやすくなった点は大きなメリットです。
しかし、お客さまが薬に詳しいとは限りません。そのため、お客さまは自分の現在の症状だけを考慮して適切でないOTC(一般用医薬品)を購入してしまう可能性もあります。たとえば、「ひどい頭痛がするから」といって、市販の頭痛薬を飲み続けても症状が改善しなかったお客さまが、最終的にくも膜下出血や脳腫瘍と診断され、手遅れになるケースも見られます。
薬について詳しくないお客さまに対して登録販売者が相談に乗り、適切なOTC(一般用医薬品)を提供、必要に応じて受診を推奨するという役割が求められます。
登録販売者がおこなう受診勧奨の取り組み事例
ここからは登録販売者が所属するドラッグストアにおいて、スムーズな受診勧奨をおこなうために役立つ事例を紹介します。今回紹介する4つの事例は企業単位ではもちろん個人でも取り組めるものであるため、店内で話し合い、進めてみましょう。
ロールプレイングによる実践研修をおこなう
1つ目は従業員同士で実践研修をおこなうことです。「お客さまが眠れないほどの頭痛を相談しにきた」「2週間以上腹痛が収まらないと訴えている」など、具体的なシーンを想定して従業員同士でロールプレイングをおこないます。
二人一組でお客さま役と登録販売者役を設け、実際に起こりうるシーンを想定し研修をおこないます。この時、実際に経験した接客を題材として扱うのも効果的です。
OTC(一般用医薬品)の成分と副作用をまとめたノートを作成する
2つ目はOTC(一般用医薬品)について、知識がなくともわかる資料を作成する方法です。登録販売者と比較し、訪れるお客さまはOTC(一般用医薬品)の成分や副作用について詳しくありません。そのため「この薬にはどのような成分が含まれていてどのような効能があるか」「どのような副作用が起こるか」を一覧にし、お客さまが見られる状態にするとよいでしょう。
とくに、妊婦や授乳婦、子どもなど薬の扱いに注意が必要な人向けに資料を作ると、薬の選び間違いやトラブルを抑止できます。
お薬相談コーナーに登録販売者が常駐できる環境を作る
各ドラッグストアではお薬相談のコーナーを設けています。しかし、実際は登録販売者が品出しやレジ業務で常駐していなかったり、忙しそうにしていて相談できなかったりするケースが見られます。この場合は人員を増やし、固定の時間に登録販売者が常駐できる環境づくりが欠かせません。
シフトの組み方を工夫して「開店からお昼までは登録販売者が常駐する」「土日の日中は必ず登録販売者を相談コーナーに常駐させる」など、労働環境の改善から取り組みましょう。
プライバシーが保護された相談コーナーを作る
相談コーナーを作るにあたっては、お客さまのプライバシー保護も重視したいポイントです。パーテーションがないデスクなど周囲のお客さまに情報が漏れてしまうような構造では、相談したくともできないという状況に陥ります。
相談コーナーにパーテーションを設けたり、話しにくいと感じているお客さまには別室を設けたりと工夫が必要です。限られた店内スペースではありますが、お客さまの気持ちを意識した相談コーナーづくりが大切です。
登録販売者がおこなうセルフメディケーションの取り組み事例
登録販売者は受診勧奨に向けた適切なフローを把握するだけでなく、セルフメディケーション推進の取り組みも欠かせません。ここではセルフメディケーション推進に効果のある5つの取り組みを紹介します。
自分に適したOTC(一般用医薬品)がわかるフローチャートの作成
売り場にフローチャートを作成すると、お客さまが自分で判断する機会が増加します。各店舗では似たようなOTC(一般用医薬品)が同じ場所に配置されています。たとえば、漢方薬といっても複数種類あるため、お客さまは「どの商品が自分に適しているのか」と判断しにくいこともあります。
この場合は売り場の近くに、その商品がどのような症状や体質の人に適しているのか記載したポップを掲示すると、お客さまがその情報をもとに自分に適した商品を選びやすくなります。
また、風邪症状の場合はフローチャートで「熱がある・ない」「鼻水が出る・出ない」など、自分の症状を順に確認していけるポップを掲示すると、スムーズな接客対応や、商品選択ができるでしょう。
スタッフの名札に薬の相談ができることを明記する
スタッフの名札に薬の相談ができる旨を明記すると、より親切な店舗として認識してもらえます。具体的には、登録販売者の記載を目立たせる等の取り組みが挙げられます。
登録販売者のユニフォームは一般の従業員と別に用意する店舗がほとんどですが、お客さまの中には「違いがわかりにくい」と悩む方も見られます。お客さま目線でのアピールが必要でしょう。
薬の相談ができる登録販売者に、腕章をつけてもらう取り組みも効果的です。登録販売者が有資格者であることを腕章を通してアピールできると、お客さまは声をかけやすくなり、かつ登録販売者の資格を持たないスタッフが声をかけられるケースも減るでしょう。
OTC(一般用医薬品)のオリジナルお薬手帳シールを配布する
お客さまのセルフメディケーションを推進するには、お客さまが今どのようなOTC(一般用医薬品)を服用しており、どのような悩みを抱えているかを把握する必要があります。その課題を解決するのが、OTC(一般用医薬品)のオリジナルお薬手帳シールです。
各店舗でOTC(一般用医薬品)の商品名や成分、お客さまがどのようにその薬を使っているかを記載したシールを配布すると、お客さまが来店の際に細かなヒアリングをおこなわず適切な商品を提案できます。
通常のお薬手帳にOTC(一般用医薬品)の情報も記載すると、ドラッグストアと医療機関での情報共有がしやすくなるでしょう。
似たOTC(一般用医薬品)の比較表を作成する
お客さまは似た効能の薬で迷い、登録販売者に相談されることがあります。登録販売者が対応できれば問題ありませんが、相談コーナーを離れている場合お客さまは適切な判断ができず不安や不満を抱えます。
その場合は似たOTC(一般用医薬品)を比較できるボードや資料を掲示するとよいでしょう。登録販売者が不在の場合でも、OTC(一般用医薬品)の成分を比較できるため、お客さまの不安を軽減し、かつ悩む時間を短縮できます。
登録販売者がお客さまに聞くべき基本的な項目
お客さまに受診勧奨すべきか、セルフメディケーションの考えをもとにOTC(一般用医薬品)を勧めるかは、次の4つの項目を確認し判断しましょう。
- 症状の程度はどれくらいか
- いつから症状が続いているか
- 主症状以外にも症状があるか
- 目の前のお客さまの様子はどうか
一般的に症状が長続きしている場合は受診を推奨する方がよいでしょう。また、期間が短くとも症状が激化していたり、複数の症状が見られたりする場合も受診勧奨が適しています。
なお、登録販売者は医師とは異なり診断行為はおこなえません。お客さまの症状をヒアリングする中で具体的な病名が思い浮かんでも、それを伝えてしまうと診断行為にあたります。「内科を受診した方がいいかもしれません」「治療が必要な病気が隠れているかもしれません」といったアドバイスに留める程度にしましょう。
お客さまが声をかけやすい登録販売者になるポイント
どれだけ薬品に対する知識があったとしても、お客さまから声をかけにくいと思われていてはスキルを活かせません。以下の3つのポイントを意識して、お客さまが相談しやすい登録販売者を目指しましょう。
- 安心感を与えられる振る舞いをしているか
- お客さまの話を聞く姿勢が見られるか
- 清潔感があるか
挨拶や積極的な声かけはお客さまに安心感を与えます。また、お客さまから声をかけられていなくとも同じコーナーで悩んでいる方に対して「何かお悩みですか」と声かけをすると信頼感をもってもらえるでしょう。さらに、髪型や化粧、ユニフォームは常に清潔感や爽やかさを意識し、信頼を得られる外見を意識しましょう。
まとめ|事例を参考に受診勧奨・セルフメディケーションに取り組もう
登録販売者はドラッグストアや薬局、スーパーなどでお客さまのOTC(一般用医薬品)に対する悩みを解消したり医療機関につなげたりと重要な役割を担います。しかし、他の業務に追われ、お客さまの相談に乗れないこともあり悩む方もいるでしょう。その場合は紹介した事例をもとに、相談できる環境や情報提供の機会を設けましょう。
参考:一般社団法人 日本チェーンドラッグストア協会「第18回セルフメディケーションアワード優秀作品集」
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