【登販向け】正社員登用制度の利用状況は?どのような人が社員になるのか経験者にインタビュー

こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
登録販売者としてパートやアルバイト、契約社員など非正規雇用で働いている方の中には、正社員として働こうか悩んでいる方もいるでしょう。本記事では、登録販売者の正社員登用制度の利用状況や転職を経て正社員となった方へのインタビューをご紹介します。
パートから正社員になるまでの流れ、必要なスキル、準備しておくべきことなど、正社員を目指す登録販売者が知っておきたい内容を詳しく紹介しています。「正社員になりたいけど何から始めればいいのかわからない」という方はぜひご一読ください。
目次
- ・正社員登用制度とは
- ・正社員登用制度の利用状況!利用が少ないのはなぜ?
- ・経験者に聞いてみた!パートから正社員を目指した理由
- ・経験者に聞いてみた!パートから正社員になるためのルート
- ・経験者に聞いてみた!正社員になって変わったことは?
- ・まとめ|正社員を目指すなら社員登用よりも転職が近道の場合も
正社員登用制度とは

正社員登用制度とは、非正規雇用のパート、アルバイト、契約社員として働く従業員が正社員に雇用形態を変更する制度です。非正規雇用で日頃働いているため、業務経験のない会社に入社して働くよりもギャップに悩まされるケースは少ないでしょう。また、すでに業務に慣れており、研修や指導の短縮が可能で即戦力にもなるため、企業にとっても大きなメリットがあります。
正社員登用制度の基準は企業によって異なる
正社員登用制度の基準は、企業により異なりますが、多くの企業が試験を設けています。試験は企業独自の問題やSPI(適性検査)などさまざまです。また、企業によっては一定期間の勤続や業務態度・業績、上司の推薦なども必要になる場合があります。その他にも、実力が評価されて会社や上司から「正社員にならないか」と打診されるケースもあるようです。
正社員登用制度の基準は企業によって異なるため、正社員登用を考えている方は、上司に相談したり、会社に問い合せしたりして確認しておきましょう。
すべての企業が制度を設けているわけではない
すべての企業が正社員登用制度を設けているわけではありません。企業が人件費削減や人員調整を考えている場合、正社員登用制度がないこともあります。
また、専門的な知識や特殊な技術・資格が必要な企業の場合、非正社員雇用の従業員では技術や能力が補えないとして、正社員登用制度を設けていないケースもあります。
自分が勤めている企業に正社員登用制度があるか前もって確認しておきましょう。入社前に求人票を確認したり面接の際に質問したりして、正社員登用制度の有無を確認しておくことも重要です。
サービス業は正社員登用制度のある企業が多い
2022年に厚生労働省がおこなった「労働経済動向調査」によると、正社員登用制度がある企業の割合は75%であり、その中の59%が今後も登用していきたいと考えています。また、正社員登用制度を導入している割合が高い業種は、卸売・小売業が84%、金融業・保険業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉が81%でした。
その中でも医療福祉業界は、労働経済動向調査の正社員登用実績が2019年から4年連続で1位の結果です。このことから、登録販売者も他の業種に比べると正社員登用が多いと考えられます。また、登録販売者は必要な実務経験をクリアしていると店舗管理者として働けるため、企業にとっても即戦力です。
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月) 結果の概況」
正社員登用制度の利用状況!利用が少ないのはなぜ?

ここからは正社員登用制度の利用状況について解説していきます。制度はあるのに利用が少ないといったケースもあるようです。2022年におこなわれた労働経済動向調査によると、制度はあるのに過去1年間の実績がない企業が全体の38%もありました。
登用の実績がなかった理由として多かったものは、「正社員以外の労働者からの希望がなかった」が40%、「正社員を募集しなかった」が32%でした。実績のなかった理由を細かく見ていきましょう。
参考:厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月) 結果の概況」
正社員以外の労働者からの希望がなかった
正社員登用制度の利用が少ない理由として、「正社員以外の労働者からの希望がなかった」と回答した企業が40%にも上ります。
総務省が2023年度に実施した「労働力調査」によると、非正規雇用を選ぶ理由として「正規の職員・従業員の仕事がないから」と回答した人は9.6%にとどまりました。一方で、もっとも多かった理由は「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、柔軟な働き方に魅力を感じ非正規労働者として働いている人が多いことがわかります。
このように、積極的な理由から非正規雇用を選択している人も多く、そもそも正社員を目指していない場合もあると考えられます。
参考:総務省「労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の概要」
正社員を募集しなかった
正社員登用制度はあるもののそもそも募集をしなかったと回答した企業は、登用実績のない企業のうち32%もありました。正社員を募集しているタイミングは企業によってさまざまです。そのため、希望のタイミングで正社員になれるとは限りません。正社員登用制度を利用するとしても、正社員になりたいときに募集しているとは限らないからです。
子育てや介護などが落ち着いたタイミングで正社員登用制度を利用したいと考えている場合は、勤め先がどのタイミングで募集しているかも含めて、前もって上司や本社に相談しておくとスムーズに準備がおこなえるでしょう。
上司等からの推薦がなかった
労働経済動向調査の結果によると、正社員登用制度はあるにもかかわらず、上司からの推薦がなかったため利用実績がないと回答している企業も見られます。
正社員登用制度を利用して正社員を目指すには、企業によって応募条件として上司や店長からの推薦が必要だったり、選考時に上司や店長からの評価が求められたりすることがあります。
その場合、問題となるのが評価基準です。上司や店長から評価される際に、明確な基準があれば、評価のばらつきはありません。しかし、評価の基準が「店長(または上司)の推薦状」といった明確でない場合だと、店長や上司のさじ加減で決まってしまいます。
明確な評価基準がある場合は、可能なら評価基準を教えてもらい、評価基準から自己評価して自分に足りない部分を準備期間で改善するようにしましょう。
制度の運用に手が回っていない
正社員登用制度の利用実績がない理由として、制度の運用に手が回っていないことがあげられます。とくに中小企業では、パートの就業規則に制度が定められていても、具体的な応募資格や合否基準が設定されておらず、制度が形骸化しているケースも見られます。また、広報が不十分であるため、制度があっても希望者が現れない企業もあるでしょう。
入社前に、正社員登用制度の有無だけではなく、就業規則に細かい運用方法が記載されているか、利用実績があるかどうかも含めて確認しておくことが重要です。
経験者に聞いてみた!パートから正社員を目指した理由

ここからは、Aさんにお伺いした、パートから正社員を目指した理由を紹介します。
- Aさん:8年ほど前からパートで働いている中、勤務先や身辺の環境変化によって登録販売者に。アポプラス登販ナビのサポートを受けて転職活動をおこない、今後正社員として勤務予定。
子どもが小学校にあがったタイミングでパート社員としてドラッグストアで勤務し始めた
はじめに、ドラッグストアの正社員になる前にパート社員として働き始めたきっかけは何ですか?
- Aさん
「子どもが小さいうちは仕事をしていなかったのですが、子どもが小学生になったタイミングで、そろそろパートをしてみようかなという思いが生まれ、パートとして働き始めました。子どもが小さいころから一緒に通っていた近くのドラッグストア店舗があり、よく通っていた場所なので楽しくお仕事できるかなという気持ちで始めました。」
パート社員として働き始めた当初は登録販売者の資格は持っていなかった
勤務を始めた当初から登録販売者として働いていたのですか?
- Aさん
「パートとして働き始めたのが8年ほど前で、店舗に医薬品が入ったのが、ここ1年半ぐらい前のことなので、当時は医薬品がなくスーパーのような形態だったため、登録販売者の資格は持っておらず、取得も当時は考えていませんでした。」
離婚をきっかけに正社員を目指すように
何をきっかけにパート社員から正社員を目指すようになりましたか?
- Aさん
「1年半前に離婚したことをきっかけに、どこか正社員で働きたいと思うようになりました。ちょうどパート社員として働いていた店舗に医薬品が入り始めたタイミングだったため、登録販売者の資格を取得してから動き始めようと考えました。」
「その後、登録販売者の管理者要件となる実務時間をクリアしたタイミングで、正社員として働くためにアポプラス登販ナビさんにコンタクトを取り、転職活動を始めました。」
経験者に聞いてみた!パートから正社員になるためのルート

ここでは、引き続きパートから正社員へとシフトしたAさんにお伺いした、パートから正社員になるまでの流れや、必要なスキル、経験などを紹介します。
転職活動をはじめてから2カ月弱で正社員へ
パートから正社員になるまでの期間や流れはどのようなものでしたか?
- Aさん
「今年5月に管理者要件の実務時間がクリアとなり、8月のはじめごろに登録販売者向けの転職エージェントを探し始め、アポプラス登販ナビさんに登録しました。その後、すぐにご連絡をいただき、8月の中旬ごろには志望する企業を絞り、面接の練習を始めるといったスピード感のある対応をしていただきました。」
「9月の前半ごろに第一志望の面接を受け、9月の中旬ごろには採用の通知をいただきました。担当者さんと密に連絡をとり、書類作成や模擬面接などで慌ただしい期間でしたが、その分あっという間に転職先が決まったという気分です。」
登録販売者の資格を取得しておくと応募できる求人の幅が広がる
今後、パートから正社員を目指す方に向けて、勉強しておいたほうがよいことや、身につけておいたほうがよいスキルなどがあれば教えてください。
- Aさん
「今回、転職先がスムーズに決まったのは、やはり登録販売者の資格を取得していたことが大きいと感じました。」
パート時代にさまざまな業務を経験しておく
- Aさん
「転職を成功させるためには、パート社員時代にさまざまな業務を経験しておくことも大切だと感じました。やりたいことに挑戦させてくれる職場だったため、レジや品出し業務だけではなく、時間帯責任者として売り場を担当して、発注や棚替えなども経験させていただき、ドラッグストアのさまざまな業務を経験できたことは、転職活動でのアピールポイントにもつながったと感じています。」
経験者に聞いてみた!正社員になって変わったことは?

ここでは、Bさんに、仕事内容や給与・待遇の変化について話を伺いました。「正社員になる前と後で、どんな変化があったのか」を中心にご紹介します。
- Bさん:ドラッグストアのアルバイト勤務を通じて実務経験を積み、正社員になる条件を満たした。正社員登用制度により準社員に昇格し、その後正社員として活躍中。
正社員になって仕事内容は変わった?
正社員になる前と正社員になった後で仕事内容に変化はありましたか?
- Bさん
「私はアルバイトから準社員に昇格して、その後正社員になりました。正社員になるためには、アルバイトや準社員の段階で正社員の仕事に触れておくことが求められていて、実際に経験を積んでいました。正社員になってから新たに教わるのではなく、事前に立ち振る舞いや仕事内容を学んでいたので、正社員になった後も大きな変化はありませんでしたね。もちろん立場が変わることで責任の重さは増しましたが、業務内容自体は大きく変わりませんでした。」
アルバイト・準社員のときに正社員を意識して取り組んだ業務にはどのようなものがありますか?
- Bさん
「ざっくりいうと、店舗で働く社員や店長と同じような業務を意識していました。たとえば在庫の管理や店舗運営にかかわる部分も教えてもらいながら、積極的に仕事を任せてもらえるようお願いもしました。単なるレジ業務や補充だけでなく、店舗運営よりの仕事にも力を入れて取り組んでいました。」
給与や待遇について変化はあった?
アルバイト・準社員・正社員と雇用形態が変わっていく中で、給与や待遇面についても変化はありましたか?
- Bさん
「一番大きく変わったのはやはり給与面ですね。アルバイトの時はかなりギリギリの生活でしたが、準社員にあがると月に2~3万円ほど給与が増えたので、生活に余裕が出てきました。 さらに正社員になるとボーナスも支給されるようになったので、経済的にはずいぶん楽になりましたね。 お金に余裕ができると心にもゆとりが生まれて、仕事に対してもリラックスした気持ちで取り組めるようになりました。目に見える大きな変化としては、給与が一番だと思います。
待遇面については、アルバイトから準社員にあがったときは、それほど大きな変化は感じませんでしたが、準社員から正社員になったときは変化がありました。転勤ありのナショナル社員を選んだことで、引っ越しの際に家賃補助や遠方手当がつくようになりました。福利厚生面での変化はそれほどありませんでしたが、準社員から正社員になったことで、手当など待遇面の変化は大きく感じました。」
まとめ|正社員を目指すなら社員登用よりも転職が近道の場合も
正社員登用制度は、非正規雇用者がスムーズにキャリアアップできる魅力的な制度です。しかし、その基準や運用状況は企業ごとに異なり、利用に際しては事前の確認や適切なタイミングを見極めることが大切です。
経験者の声からも、日頃から幅広い業務に取り組み、スキルや資格を磨くことが正社員登用への一歩となるとわかります。今後、制度を活用して正社員を目指す方は、ぜひ自らの業務内容やスキルを振り返りながら、上司や人事と連携を図り、キャリアアップを実現していきましょう。
一方で、そもそも企業が正社員を募集しているタイミングでない場合などは、同じ会社で社員登用を目指すよりも転職するほうが近道となることもあります。パートから正社員を目指している方は、アポプラス登販ナビにご相談ください。コンサルタントが親身になって相談に乗り、一人ひとりにぴったりのキャリアパスをご提案します。
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