【登販が知っておきたい】サプリメントに潜む危険性とは?過剰摂取や飲み合わせについて
【登販が知っておきたい】サプリメントに潜む危険性とは?過剰摂取や飲み合わせについて
サプリメントは、手軽に栄養を補給できてとても便利ですよね。しかし、通常の食品と異なり満腹感が出にくいため、一度にたくさんの量を摂取できてしまいます。また、サプリメントは特定の成分が濃縮されているため、通常の食品よりも過剰摂取しやすいという特徴があります。
本コラムでは、サプリメントの過剰摂取による過剰症や医薬品との飲み合わせなど、その危険性について詳しく解説します。
目次
- ・登録販売者が知っておくべき、サプリメントの過剰摂取による危険性
- ・登録販売者必見!サプリメントとの飲み合わせで注意すべき医薬品
- ・登録販売者は必ず把握しておこう!飲み合わせの確認方法
- ・まとめ|登録販売者はサプリメントと医薬品の飲み合わせにも配慮しよう
登録販売者が知っておくべき、サプリメントの過剰摂取による危険性
主なサプリメントの成分の、代表的な過剰症について見ていきましょう。
ビタミンの過剰症による危険性
ビタミンには、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)と水溶性ビタミン(B群、C)の2種類があります。このうち、脂溶性ビタミンは肝臓や脂肪組織に蓄積され、体外に排出されにくいため、過剰摂取により様々な症状を引き起こすことがあります。一方、水溶性ビタミンは過剰摂取しても尿となって排泄されるため、副作用は出にくいと考えられます。
下表は、脂溶性ビタミンの過剰症をまとめたものです。
【脂溶性ビタミンの過剰症】
- ビタミンA
-
- 長期過剰摂取により、骨量減少や骨粗しょう症骨折を引き起こす
- 長期過剰摂取により、頭痛や脱毛、皮膚荒れを引き起こす
- 妊娠中の過剰摂取により、水頭症や口蓋裂など、胎児奇形発生リスクがあがる
- ビタミンD
-
- 活性型ビタミンDの過剰摂取により、高カルシウム血症(症状:嘔吐や食欲不振、体重減少など)を引き起こす
- ビタミンE
-
- 過剰症の報告はない
- ビタミンK
-
- ビタミンK1、K2については、過剰症の報告はない
参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品をお使いの方へ」
参考:藤田浩二、竹田秀 Vol.51 No.3 2015 ファルマシア「ビタミンの過剰症」
参考:厚生労働省「ビタミンK」
ミネラルの過剰症による危険性
主なミネラルの過剰症は、下表の通りです。
【ミネラルの過剰症】
- ナトリウム
- 高血圧、胃がん、食道がん
- カルシウム
- 泌尿器結石
- 鉄
- 鉄沈着症
- 亜鉛
- 胃腸の刺激、膵臓の異常など
- 銅
- 肝臓・脳の機能障害
- マグネシウム
- 軟便、下痢
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」
参考:日本スポーツ振興センター「サプリメントの危険性」
登録販売者必見!サプリメントとの飲み合わせで注意すべき医薬品
サプリメントとの飲み合わせに注意が必要な医薬品は多岐に渡りますが、ここではとくに注意したいものをピックアップして解説します。
ワルファリンカリウムとの飲み合わせ
ワルファリンカリウムは、血液凝固を抑制するために用いられる医療用医薬品です。下表以外にも飲み合わせのよくないサプリメントが多数存在するため、ワルファリンカリウムを服用中のお客さまがサプリメントや健康食品の使用を希望している場合、必ず薬剤師に引き継いでください。店舗に薬剤師がいない場合は、処方元の病院や薬局に相談するようお伝えしましょう。
【ワルファリンカリウムとの相互作用】
- 成分
- 危険度
- 併用に注意する理由
- ビタミンA
- 中
- 多量のビタミンAは血液凝固を抑制する可能性があり、併用により紫斑および出血のリスクが高まるおそれがある
- ビタミンE
- 中
- ビタミンEは血液凝固を抑制する可能性があり、併用により紫斑および出血のリスクが高まるおそれがある
- ビタミンK
- 高
- ビタミンKは体内で血液凝固を助ける働きがあり、ワルファリンカリウムの効果を弱めるおそれがある
- ビタミンC
- 中
- 大量のビタミンCはワルファリンカリウムの効果を弱めるおそれがあり、併用により血液凝固のリスクが高まるおそれがある
アスピリンやイブプロフェンとの飲み合わせ
アスピリンやイブプロフェンは解熱鎮痛成分として用いられますが、血液凝固を抑制する作用もあります。とくにイチョウとの飲み合わせに注意しましょう。
【アスピリンやイブプロフェンとの相互作用】
- 成分
- 危険度
- 併用に注意する理由
- イチョウ
- 中
- イチョウは血液凝固を抑制する可能性があり、併用により血液凝固が過度に抑制され、紫斑および出血のリスクが高まるおそれがある
エフェドリン塩酸塩との飲み合わせ
エフェドリン塩酸塩などのアドレナリン作動成分との併用に注意が必要な成分としては、以下のようなものがあります。とくに、カフェインを含む食品との併用を避けます。
【エフェドリン塩酸塩との相互作用】
- 成分
- 危険度
- 併用に注意する理由
- イェルバ・マテ(マテ茶)
- 高
- イェルバ・マテに含まれるカフェインとエフェドリン塩酸塩は、いずれも興奮薬である。カフェインとエフェドリン塩酸塩を併用すると、過度な興奮や時には重大な副作用および心臓の異常を引き起こすおそれがある
- カフェイン
- 高
- カフェインとエフェドリン塩酸塩を併用すると、過度な興奮や時には重大な副作用および心臓の異常を引き起こすおそれがある
参考文献:日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会 総監修 「健康食品・サプリメントと医薬品との相互作用事典 第2版」(同文書院)
登録販売者は必ず把握しておこう!飲み合わせの確認方法
サプリメントと医薬品の飲み合わせを確認する方法について、医療用医薬品とOTC(一般用医薬品)にわけて解説します。
医療用医薬品との飲み合わせを確認する方法
「ワルファリンカリウムとの飲み合わせ」の項でも説明しましたが、お客さまが医療用医薬品を服用している場合、サプリメントの服用が治療の妨げになることも考えられます。登録販売者が飲み合わせについて判断するのは避けましょう。
この場合、自店の薬剤師に飲み合わせについて確認するか、処方元の病院や薬局に相談するようお客さまにお伝えしてください。
OTC(一般用医薬品)との飲み合わせを確認する方法
OTC(一般用医薬品)との飲み合わせを完璧に把握するのは困難ですが、いくつか役に立つ検索ツールをご紹介します。
1.城西大学編纂の「食品‐医薬品相互作用データベース」
このデータベースでは、食品名や医薬品の成分名をキーワードに入力することで、相互作用を検索することができます。根拠となる論文情報の掲載もあり、非常に便利です。
2.ナチュラルメディシン・データベースを元にした書籍
ナチュラルメディシン・データベースとは、WHO(世界保健機関)が信頼できると評した「健康食品やサプリメントのデータベース」です。このデータベースを元にした書籍がいくつか発売されており、以下はその一つです。
参考文献:ナチュラルメディシン・データベース
健康食品やサプリメントに関する書籍はいろいろありますが、信頼度の高いものを活用するようにしましょう。
まとめ|登録販売者はサプリメントと医薬品の飲み合わせにも配慮しよう
ドラッグストアでは、多数のサプリメントや健康食品が売られており、健康志向の高まりと共に、それらを希望されるお客さまも増えています。
OTC(一般用医薬品)と合わせてサプリメントをご案内する時だけでなく、お客さまがサプリメント単独の購入を希望している時にも、服用中の医薬品を確認し、飲み合わせの判断をおこなうようにしましょう。サプリメントの併用による危険性を避けるのも、登録販売者の大切な役割です。飲み合わせを判断する際は、前項の「OTC(一般用医薬品)との飲み合わせを確認する方法」で紹介したツールを参考にしてくださいね。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
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