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【登販必見】貧血におすすめの市販薬はどれ?接客時の注意点もあわせて解説

【登販必見】貧血におすすめの市販薬はどれ?接客時の注意点もあわせて解説

【登販必見】貧血におすすめの市販薬はどれ?接客時の注意点もあわせて解説

貧血は女性に多い症状で、主に動悸・息切れ、倦怠感などが生じやすくなります。また、OTC(一般用医薬品)で対応可能な貧血と対応できないものがありますので、お客さま情報の聴き取りをしっかりおこなう必要があります。本コラムでは、貧血の病態や市販の貧血用薬、接客時の注意点について解説します。

目次

登録販売者の基礎知識 貧血の病態

登録販売者の基礎知識 貧血の病態

貧血は、体内の赤血球量が減少し、それに伴い酸素運搬容量が減少することで引き起こされます。ここでは、赤血球の働きや貧血の原因などの基礎知識について解説します。

赤血球とヘモグロビンの働き

赤血球とヘモグロビンの働きは、以下の通りです。

  • 赤血球・・・中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、酸素の運搬が主な働き。赤血球が含むヘモグロビンに酸素が結合する
  • ヘモグロビン・・・鉄(ヘム)とタンパク質(グロビン)が結びついたもので、「血色素」とも言われる
赤血球、ヘモグロビン

貧血の原因

貧血の原因は大きくわけて3つあります。

1.過剰な出血
過剰な出血のよくある原因としては、重い月経、消化器異常や尿路異常などがあります。女性に貧血が多いと言われる理由は、月経があるためです。女性は月経で血液を排出するため、貧血を起こしやすい傾向があります。

2.赤血球の生産不足
体が赤血球をうまく作れないことで、貧血を引き起こすことがあります。
赤血球の生産には、鉄やビタミンB12、葉酸を始めとする多くの栄養素が必要です。また、赤血球の生産に関わる「エリスロポエチン」などのホルモンの働きも重要です。

これらの栄養素やホルモンが不足すると、赤血球の生産量が減少したり、赤血球の変形により、うまく酸素を運べなくなったりします。

3.赤血球の過剰な破壊
通常、赤血球の寿命は約120日間ですが、寿命に達していない赤血球が破壊(溶血)されることがあります。すると骨髄は新しい赤血球の生産を速めようとしますが、これが間に合わないと「溶血性貧血」を起こすことがあります。溶血性貧血には、先天性の「遺伝子異常」によるものと、後天性の「免疫システム異常」によるものがあります。

貧血の種類

次の表は、貧血の種類と原因をまとめたものです。貧血のほとんどは、1つめの「鉄欠乏性貧血」です。

貧血の種類
原因
鉄欠乏性貧血
鉄の不足
再生不良性貧血
血液をつくる骨髄機能の低下
溶血性貧血
寿命に達していない赤血球の破壊
巨赤芽球性貧血
主な原因は、葉酸・ビタミンB12の欠乏

貧血の症状

貧血の症状はさまざまですが、一般的な症状として、疲労、動悸、息切れ、血色不良、頭痛、耳鳴り、めまい、微熱、皮膚や粘膜の蒼白(青白くなること)、下半身のむくみなどがあります。ただし、貧血が軽く、進行が遅い場合、自覚症状が現れないこともあります。

登録販売者が押さえておくべき貧血に用いられる市販薬

登録販売者が押さえておくべき貧血に用いられる市販薬

市販の貧血用薬は、「鉄製剤」と呼ばれるものです。鉄製剤で改善できるのは、鉄欠乏性貧血のみであるため、注意しましょう。

鉄製剤に含まれる成分

  • 1.鉄分
  • ①フマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄など
  • ✔ 作用機序:不足した鉄分の補充
  • ✔ 副作用:悪心(吐きけ)、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹痛、便秘、下痢などの胃腸障害
  • [注意点]
  • ✔ 鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、使用の中止を要する副作用ではない
  • ✔ 鉄分の吸収は空腹時の方が高いとされているが、消化器系への副作用を軽減するには、食後に服用することが望ましい
  • ✔ 服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒーなど)を摂取すると、鉄の吸収が悪くなることがある
  • 2.鉄以外の金属成分
  • ①硫酸銅
    • 作用機序:補充した鉄分の利用によるヘモグロビン産生の補助
    • 補足:銅はヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ物質である
  • ②硫酸コバルト
    • 作用機序:骨髄での造血機能を高める
    • 補足:コバルトは赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分である
  • ③硫酸マンガン
    • 作用機序:エネルギー合成促進
    • 補足:マンガンは、糖質・脂質・タンパク質の代謝をする際に働く酵素の構成物質である
  • 3.ビタミン成分
    • ビタミンB6:ヘモグロビン産生に必要なビタミンである
    • ビタミンB12、葉酸:正常な赤血球の形成に働く
    • ビタミンC(アスコルビン酸等):消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つ

貧血に用いられるOTC(一般用医薬品)

貧血に用いられるOTC(一般用医薬品)には、エミネトンやマスチゲン錠、ファイチなどがあります。配合成分は以下の通りです。

成分グループ 成分名 エミネトン マスチゲン錠 ファイチ
鉄分 フマル酸第一鉄
溶性ピロリン酸第二鉄
鉄以外の金属成分 硫酸銅
硫酸コバルト
硫酸マンガン
ビタミン成分 ビタミンB6
ビタミンB12(シアノコバラミン)
葉酸
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンE(酢酸トコフェロール)
胃粘膜保護・修復成分 銅クロロフィリンカリウム
銅クロロフィリンナトリウム

エミネトンは、鉄分だけでなく、鉄以外の金属成分や各種ビタミン成分、胃粘膜保護・修復成分まで、広く配合されています。1日2回服用、7歳から服用可能です。1つ難点を挙げるとすれば、他の商品よりも値段が高いことがあります。期待される効果と費用のバランスが、お客さまのニーズに合っているかどうかを確認するようにしましょう。

マスチゲン錠は鉄分とビタミン成分の配合剤です。1日1回の服用なので、飲み忘れが心配な方にもお勧めです。マスチゲン錠は15歳以上で服用可能ですが、別の商品で「マスチゲン錠8〜14歳用」もあるため、お子さまについてはそちらをご案内してください。

ファイチは、鉄分、ビタミンB12と葉酸のシンプルな配合剤であり、マスチゲン錠と同じく1日1回の服用となります。鉄分はお茶やコーヒーなどによって吸収が妨げられることがありますが、ファイチは腸溶性なので、摂取した鉄を効率的に吸収することができます。

登録販売者必見!接客時の注意点

登録販売者必見!接客時の注意点

鉄製剤をご案内する際の注意点を見ていきましょう。

鉄製剤には注意点が多い

鉄製剤を服用すると、便が黒くなることがあります。しかも「ちょっと黒くなる」程度ではなく、「炭のように真っ黒になる」ことがあり、驚くお客さまもいます。そのため、販売時にはお客さまへ注意点や副作用についてお伝えすると親切です。

また、「鉄製剤に含まれる成分」で解説した通り、鉄製剤には適切な服用方法や服用タイミングがあります。鉄製剤を勧める際は、服薬指導もきちんとおこないましょう。

食生活改善のアドバイスも必要

特段の基礎疾患などがなく鉄分の欠乏を生じる主な要因としては、食事の偏りによる鉄分の摂取不足が考えられます。そのため、貧血用薬(鉄製剤)の使用と併せて、食生活の改善を図ることが重要です。

食品に含まれる鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。このうち、より吸収率が高いものは「ヘム鉄」です。「ヘム鉄」が多い食べ物としては、レバーや赤身の肉(牛もも肉など)、赤身の魚(かつお、まぐろなど)などがあります。

受診勧奨の目安

食生活を改善し、かつ鉄製剤の使用を2週間程度続けても症状の改善がみられない場合、月経過多、消化管出血、痔、子宮筋腫などの出血性疾患による慢性的な血液の損失が原因で貧血症状が起きている可能性があります。このような場合、基礎疾患の治療を優先すべきであるため、受診勧奨をしてください。

まとめ|登録販売者が貧血に対応する際はしっかりと聴き取りをしよう

貧血は女性に多い症状です。貧血が疑われる症状を訴えるお客さまが女性の場合、月経過多や子宮筋腫などの重い婦人科系疾患が隠れている可能性もあります。市販の貧血用薬の使用が適切かどうかを見極め、必要であれば受診勧奨をおこなってくださいね。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」
参考:MSDマニュアル家庭版「貧血の概要」
参考:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き(令和5年4月一部改訂)」
参考:佐藤製薬「エミネトン」
参考:日本臓器製薬「マスチゲン錠」
参考:小林製薬「ファイチ」

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
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