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【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者とお客様の距離感<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者とお客様の距離感<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者とお客様の距離感<登録販売者のキャリア>

毎日の業務でお客様からのご質問やアドバイスをする時に「どこまでしたらいいのか?」と悩まれる方も多いはずです。
実はお客様対応では踏み込むべき領域と、踏み込んではいけない領域が存在します。また、お客様と薬についての価値観の相違で想定外のトラブルに発展する時もあります。

このような、お客さまとの「距離感」を掴んでおかないと不信感からクレームに発展するなど、客数減少という憂き目に遭ってしまいます。

今回は「登録販売者とお客様の距離感」を実例と法律を交えて考えていきましょう。

目次

お客様の心の領域

お客様の心の領域

店舗でどれだけ丁寧な接客を行い一定のサービスを提供し続けても発生するのがクレームです。店舗経験が長い方ほど、なぜ起きたか分からないクレームの経験があるはず。
それはほとんどがお客様の触れてはいけないポイントに触れてしまったり、お客様自身の常識から踏み外した言動を店員がしてしまったりしたためです。

この「お客様の心の領域」とも言えるスペースにうっかり踏み込んでしまった事はないでしょうか?

登録販売者として、お客様の心の領域を常に考えて接客を行う必要があります

心の領域とは

人間は誰もが自分の中に他の人に踏み込まれたくない「自分だけの領域」を持っています。あなたも自分の領域に踏み込まれると強い拒否感が現れるはずです。

お客様からのサインを察することができればいいのですが私を含めてそんな能力を持っている方は少ないでしょうから、ある一定のラインを定めておく必要があります。

ではどのようなリスクがあるのでしょうか。
私が経験した「お客様の心の領域」に踏み込んでしまった実例を挙げてみます。

お客さまの領域に踏み込んでしまった例

例えば過去にこのような事例がありました。

(例1)
ご家族の薬を購入に来店されたお客様との接客で持病をお聞きし、復唱したところご立腹された。

これはご家族の持病を第三者である登録販売者が口にしたところ、気分を害されたパターンです。他のお客様に大切な家族の持病を聞かれたくない...という心理です。

このお客様にとってはご家族の健康情報は「心の領域」なのです。

(例2)
市販薬(胃薬)を1個のみ購入されたお客様にレジでテープを貼ってお渡ししたところ、ご立腹された。

レジ袋無料の時代で1個のご購入のためテープでお渡ししたのですが、カバンを持っていない徒歩のお客様だったため、ご自身の健康上の悩み(胃痛)を世間に晒しながら帰宅しなければいけない...ということで気分を害されたようです。

また、よく聞く話ではこのような例もあります。

(例3)
「お客様、浣腸はこちらにございます!」

もちろん、センシティブな症状に対応する商品のご案内は丁重に扱わなくてはいけません

どの例もドラッグストアでは毎日のように起こりうる事例です。
このような事例が原因でクレームが起こると「運が悪かった」「細かいお客様が来た」といった声をスタッフから聞きますが、本当にそうでしょうか?

どこからお客様の心の領域なのか

このようなクレームは予め予防できるのでしょうか?

結論から言えば、感覚は人それぞれなので完全にゼロにはできません。しかし、限りなくゼロに近付ける事は可能です。

ドラッグストアという業態において、お客様の心の領域は「ご家族」「健康状態」の情報です。ここでの持病に対する感覚はお客様によって大幅に違うため、丁重に接する必要があります。

「〇〇病なのですね」「他に持病はお持ちですか」「〇種類のお薬をつかわれているんですね」など、登録販売者としては必要でもお客様にとっては非常にセンシティブな情報の場合があります。

また、その持病があることがコンプレックスと感じている場合もあります。

一般的にコンプレックスと思われている症状だったら第三者である登録販売者でも分かるのでしょうが、そうではない一般的な症状や持病でもコンプレックスと感じているお客様も一定数いらっしゃいます

問題はこういったお客様は繊細な方が多いため、表立ったクレームに発展することなく店舗から足が遠のきます。
お客様からしたら、このような登録販売者はお客様から「礼儀知らず」と思われている可能性もあるのです

お客様との距離感

お客様との距離感

このようにお客様との距離感は非常に難しいのです。
登録販売者を始めとした店舗スタッフとお客様の間には、心の領域がどこにあるか分からない事による測定不可能な「距離」が存在するのです。

ではその距離感を保つ方法を考えていきましょう。

フレンドリーという言葉の罠

心の領域に踏み込んでしまう登録販売者は、フレンドリーな方が多い傾向があります。

この「フレンドリー」という言葉は厄介で、ポジティブに捉えれば確かにフレンドリーなのですが、ネガティブに言えば「場をわきまえない礼儀知らず」と言われても仕方がない一面も持ち合わせています。

「フレンドリー」はお客様によってプラスにもマイナスにもなる「諸刃の剣」なのです

お客様はどんな常連様でも言い方は冷たいですが「他人」であり、友達でも知り合いでもなく仕事上で関わる「顧客」です。

決して馴れ合いになってはいけませんし、友達感覚で接するのも間違っています。
こうした対応を行うと、万一クレームに発展した場合の鎮静化が困難となります。

「フレンドリー」は「友好的」という意味ですが、友達ではありません。
店員側が「フレンドリー」を標ぼうするのではなく、お客様が「フレンドリーな店舗、店員」と感じるかどうか、という意味なのです。

つまり「フレンドリー」とは、お客様の要望に親身になって対応することであり、馴れ合いではありません。
一度馴れ合いになると元には戻せないため、各スタッフがしっかりと線引きを行う必要があります。

登録販売者としての線引きの基準

では線引きはどこで引くべきでしょうか。

具体的な例を挙げると際限がありませんが、最低限が先ほどの「ご家族の話題」と「持病の説明」です。
口にするのはお客様が気にする様子がないのを確認してからにしましょう。

気にしている場合は、商品の「注意」の欄を用いて説明するのがベターです。
また未だに感染症が猛威を奮っているため、「物理的な距離感」にも気を遣うべきです。
小声で言えば...と、必要以上にお客様に接近するのも注意が必要です。

そして会社マニュアルにも記載があると思いますが、会社の定めた接客用語で接客を行うべきです。これは自身を守るためにも必要なので必ず覚えておきましょう。

一般従事者の線引きの基準

では登録販売者ではない一般従事者はどうすべきでしょうか。

基本的にお客様と持病などの話は行わないと思うのですが、よくあるパターンが「売場案内をしていて気付いたら薬の説明をしていた」というパターンです。
よくスタッフからも質問を受けますが、もちろん無資格者の医薬品接客は違反です。

境界線は「商品の箱に書いてあること以外は言わない」が簡潔で誰にでも理解できるルールです。

質問されて箱に記載があったら「ここに〇〇と書いてあります」という「代読」のスタンスで乗り切れます
もちろん箱に記載がないことや、一歩踏み込んだ質問は登録販売者に振る必要があります。

例えば「〇〇と●●はどちらが効く?」などの質問もよくあるのですが、全て登録販売者に振るようにしないといけません。

基本的に医薬品の説明は「陳列場所」と「商品の記載内容の代読」という明確なラインを引いておくべきです。

法を守るということ

法を守るということ

このほかに明確に線引きがされているものがあります。薬機法をはじめとする法律ですね。

ドラッグストアは様々な法律が関係してきますが、その中でもお客さまとの距離感と密接な関係があるのが「薬機法」と「景品表示法」です。
距離感は何も「お客様と店員」だけではなく「お客様と店頭掲示物」との間にも存在します。

様々な角度から、法律から見る「距離感」を考えてみましょう。

薬機法からみるお客様との距離

登録販売者の受験勉強で薬機法は勉強したはずなので概要は皆さん学んだはずです。

しかし店頭でしっかり守られているでしょうか?
記録、証跡が残らないからといって薬機法を疎かにしている事はないでしょうか?

基本的に商品の外箱に記載されている内容以外の効能効果を標ぼうすることは認められていませんし、過剰な表現も厳に慎むべきです。

サプリメントの接客はあくまで成分の効果の説明に徹するべきですし、医薬品の効能効果も拡大解釈すべきではありません。

いくら接客でお客様との距離感を適切に保っていても、この「効果の拡大解釈」は距離感の概念を破壊する行為です。

なぜなら一時的にお客様の店舗や商品への期待を過剰に大きくすることによって、通常では感じることのない偽りの信頼をお客様に抱かせてしまうからなのです。

そしてその偽りの信頼は徐々に本来の姿になってしまうのです。
それは結果的にお客様の足を店舗から遠ざける要因となります。

薬機法は「表現に自由を奪う法律」ではなく、「お客様との信頼関係を担保する法律」なのです。

うっかり違反してしまいやすい景品表示法

もうひとつお客様との距離感を縮めて売上を伸ばそうとするあまり違反している事例が多いのが「景品表示法」です。

景品表示法でいう景品の定義は「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益」です。

何のこと?と思われそうですが、要は「オマケ」です。
ドラッグストアで違反しやすいのが、この「オマケのつけすぎによる景品表示法違反」です。

メーカーから提供されたサンプルをオマケとして商品に添付し販売する手法は、ドラッグストアでよく見られる光景です。ほとんどが推奨販売商品だと思います。

このオマケは景品表示法に次の記載があります。

「1000円未満の商品は200円まで」「1000円以上の商品は取引価格の10分の2以内」

オマケを付けるのはほぼ1000円以上の商品なので、販売価格の20%以内に抑える必要があります。
つまり、例えば30包入りの青汁の場合は「オマケはサンプル6個まで」となります。

これを破ることは法律違反に該当します。
景品表示法違反も「お客様との距離感」が不当に乱れる原因となります。
なぜなら一時的なサービスは、店舗側にとってもお客様にとっても、その時だけの麻薬的な利益だからです。

チェーンストアの特性上、サービスは均一化されるべきです。
過剰サービス、あるいは一時的な違法なサービスはお客さまを裏切る行為に成り下がります。

詳しくは消費者庁のHPに記載があるので参照してください。

お客様に安心して再来店していただくために

法律を薬機法と景品表示法を挙げましたが、この他にも「酒に関する法律」や「食品衛生法」など多くの法律がドラッグストア内には存在します。

その法律は裏返せば「お客様との正常な距離感」を保つものです。
法律は店舗マニュアルと同様、足かせではなくお客様との距離感を保つための防波堤でもあるのです。

店舗では「法律」と「会社マニュアル」を尊重し守っていれば、大きなトラブルはまず発生しません
また、特定のお客様への法令違反はその他のお客さまへの不信感や不平等となり、店舗の満足度を大幅に下げる要因となります。

お客様からの期待値を会社全体で上げるということは、個店ベースでのサービスの均一化が必要不可欠なのです。
それには「法令遵守」が最重要となります。

登録販売者として薬機法と景品表示法を遵守し、お客様との適切な距離感で安心してリピートして頂ける環境をつくっていきましょう!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、Twitterなどで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。Twitterフォロワー数約5,000人。

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