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【指名の止まらない登録販売者を目指して】みんなが誤解している《ストレス対策》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】みんなが誤解している《ストレス対策》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】みんなが誤解している《ストレス対策》

「ストレスをためないようにしましょう」
登録販売者として働いていれば、誰しも1度は耳にしたことがあるアドバイスでしょう。
ただ結論からいって、このアドバイスは不適切と言わざるを得ません。そして、個人的に言えばこのアドバイスが大嫌いです。

たしかに"ストレスは万病のもと"と言われたりしますから、医療の世界でこのセリフが出てくるのも無理からぬことでしょう。しかしよく考えてみてください。
「よし!今日はストレスをためるために頑張るぞ!」と息巻いて1日をスタートさせる人がいるでしょうか?無論、そんな人がいるはずもありません。

多くの場合、仕事やプライベートにおいて、よかれと思って全力を注いだことが結果的にストレスに繋がったり、毎日あくせく働いているうちに気づいたらどっと疲れてしまっているものです。つまり、ストレスとは「ためるものではなく、勝手にたまるもの」という性質であり、呼吸すれば活性酸素が発生するのと同じように、不可抗力的に累積するものであるといえます。

そう考えると、冒頭のアドバイスは実際にストレスを抱えて悩んでいる方からすると「そんなことわかってるわ!」という反感しかかわず、無神経とさえ言えます。

さらにこのアドバイスには、もう一つ重要なことが抜け落ちています。それは「ストレスは必ずしも悪いものとは限らない」ということです。一般的にはあまり知られていないですが、ストレスはむしろ私たちの寿命をのばしたり、健康に導くこともあるのです。

というわけで本記事では、より正しいアドバイスが行えるようになるために、ストレスに対する正しい知識や考え方をお伝えしていこうと思います。

目次

【指名の止まらない登録販売者を目指して】みんなが誤解している《ストレス対策》

ストレスは敵にも味方にもなる

ストレスは敵にも味方にもなる

スタンフォード大学の健康心理学者であるケリー・マクゴニガル博士によると「ストレスの影響は考え方で変わる」といわれています。
たとえば、1998年にアメリカで3万人の成人を対象に8年間にわたって行われた追跡調査では次の意外なことが明らかになっています。

  • 強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%高くなる
  • ただし、死亡リスクが高まったのは、強度のストレスを受けていた参加者の中でも「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけだった
  • 反対に、ストレスは健康に悪いと思っていなかった人たちには、死亡リスクの上昇はみられなかった

同じようなことは他の研究でも確認されており、マンハイム大学の実験では被験者をストレスに対するマインドセット別(考え方)に次の2グループにわけました。

  • * ポジティブ・ストレス・マインドセット=「集中力やモチベーションを上げてくれるし、ストレスにもいいとこがある」と考えている。
  • * ネガティブ・ストレス・マインドセット=「不快で嫌な気分になるから、できるだけストレスは避けたい」と思っている。

そのうえで「ストレスに対する考え方で仕事の生産性は変わるのか」を調べました。結果、何がわかったかというと

  • * 「ストレスはいいものだ!」と思っている人ほど、朝のモチベーションが高く、仕事に対して明確なスケジュールを立てる傾向があり、実際に1日の生産性も高かった
  • * さらに寝る前の疲労感も格段に少なかった
  • * 反対に「ストレスは悪いものだ」と思っている人は真逆の現象が起きた

つまり、これらのことからわかるのは「ストレスは捉え方や考え方によって、敵にも味方にもなる」ということです。これまで私たちが常識として学んできた「ストレスは悪いものだ」という話とは、まるで違っています。

《参考文献》
Mindset matters: the role of employees' stress mindset for day-specific reactions to workload anticipation

ストレスが悪者にされたわけ

ストレスが悪者にされたわけ

では、なぜここまで「ストレス=悪」という絶対的な図式が構成されてしまったのでしょうか?
その発端となったのは、ハンガリーの内分泌学者であるハンス・セリエが広めた、ある研究です。

1936年、彼は雌牛の卵巣から採取したホルモンを実験用ラットに注射し、ラットの体に起こる反応を観察して、ホルモンがどのような影響を与えるか確認する実験を行なっていましたが、ラットがことごとく病気になってしまいます。実験を繰り返す中で「もしかしてラットが病気になるのは注射の中身ではなく、注射そのものが原因なのでは?」と考えました。

そこでラットに極度の暑さや寒さで苦しめたり、休みなしに運動させたり、騒音で驚かせたり、毒性の薬品を投与したり、脊髄を部分的に切断するなどのストレスを与える実験を行なってみた結果、48時間以内にラットたちは発病し、やがて死んでしまいました。

「やっぱストレス与えたら病気になるんじゃん!」という結論を得た彼は、これを機にストレスを「外部からの刺激に対する体の反応である」と定義し、世界中の医師や科学者へ向けて普及活動を行なっていきます。これが「ストレスは悪いものだ」の起源であり、伝言ゲームのようにいまだに負の遺産として語り継がれているのです。

これを聞いてどう感じたでしょうか?
たしかに、私たちもラットのようなひどい目に遭わされれば病気になってしまうことは容易に想像がつきます。しかし私たちが感じているストレスは、ラットたちに与えられたものと同じくらい過酷なのかというと疑問がわいてくるのではないでしょうか?

朝起きて「寝癖がなかなかとれない」ことや「大事な家族が事故で亡くなる悲しみ」も共にストレスですが、これらまったく別物です。しかし、世間ではそこまで厳密に区別して語られることはありません。「ストレスをためないようにしましょう」が定番化されたアドバイスになっていることが何よりの証拠です。

このように「ストレス」という言葉は、とてもいい加減に濫用されている曖昧なものなのです。「ストレス」とはいえ、一概にすべてが"悪"ではないことがおわかりいただけるかと思います。
(ちなみにセリエも後に「ストレスにはいいものと悪いものがある」と認めて訂正しています)

ストレスには種類がある

ストレスには種類がある

では、ストレスには具体的にどんなものがあるのでしょうか?これを知っておかなければ、癌と風邪を「病気」として一括りで語るくらい愚かな結果に繋がってしまい、正しい対処ができません。程度の違いはありますが、ストレスは大きく次の2つに分類されます。

  • * 急性ストレス:「車にぶつかる!」や「トラが襲ってきた!」のような短期的なストレス。一時的に交感神経が活発になって、体が戦闘態勢に入るもの。
  • * 慢性ストレス:「上司が最悪で...」や「ずっと腰痛がひどくて」といったストレス。交感神経が常時活発なので、常に体が戦闘態勢状態なもの。

以上の2パターンが主なところですが、現代で問題になっているのは「慢性ストレス」です。というのも、原始人や狩猟採集民のストレスは比較的シンプルで、急性なものがほとんどです。例えば、トラが襲ってきたなら逃げればいいですし、食べ物がないなら探しに行けばいいだけですから、いずれも解決策がわかりやすく、即対処可能です。

いっぽう、現代人はトラに襲われるような急性ストレスはほぼありませんが、代わりに慢性ストレスに晒され続けています。「ブラック職場だけど簡単に辞められない...」「ずっと腰痛が気になるけど治し方が分からない」といった具合に、明確な解決策がとくになく、ダラダラと長続きしてしまいます。その結果、免疫系が暴走を起こし、体内は常に炎症状態になります。ストレスが鬱病につながるといわれる理由の一つです。

そして、もう一つ重要なことが「短期的で急性なストレスは健康にいい」ということです。これは【ホルミシス】という考え方によるもので、ざっくり言ってしまえば「ヒトは死なない程度の苦痛で逆に強くなる」というものです。なんともドラゴンボールのサイヤ人みたいな説ですが、代表的な例が筋トレでしょう。

ご存知の通り、筋肉を増やすためにはトレーニングで筋繊維を傷つける必要があります。適度なトレーニングと休憩をとれば筋肉は増えますが、永遠とトレーニングを積み重ねれば怪我に繋がります。ストレスにも同じことがいえます。 おや?まだ腑に落ちていませんね?

では、皆さまが過去に達成した成功体験を思い返してみましょう。本記事をお読みになっている方に一番しっくりくるのは、まさに登録販売者試験が打ってつけでしょう。仕事の忙しい合間をぬって勉強し、慣れない医薬品の成分名を必死で覚え、何回も過去問を解きまくって苦痛を味わいながら合格発表を見た時、なんともいえない充実感と「自分はやればできるんだ!」という感覚で胸がいっぱいになり、自己成長を実感したあの瞬間です。

これもストレスの力によるもので、あのツラい苦痛の日々を乗り越えたからこそ、その感覚に至るのです。人の成長には死なない程度の苦痛、つまり「ストレス」が必須であることがおわかりいただけるかと思います。

まとめると次のようになります。

①ストレス発生

②ストレスの種類やレベルを認識する

③「ストレスは役にたつものだ」というマインドセットで死なない程度の苦痛に中和

④ストレスを活かし、力に変える(具体的には次のポイントをチェック)

  • ストレスの原因に対処する方法を考える
  • 情報やサポートやアドバイスを求める
  • ストレスの原因を克服するか、取り除くか、変化を起こすための対策を講じる
  • どうにもできない場合には成長する機会と捉えて、その状況における最善を尽くす

これを1日に1度は実践してみるようにしてください。きっとメンタルが軽くなるはずです。

本当のストレス対処法

本当のストレス対処法

ここまでストレスのよい面にスポットをあててきました。しかし、だからといって「ストレスは場合によっては害になる」という認識を捨てる必要はありません。度が過ぎたストレスは私たちの体を蝕んでいくので、放置するわけにはいきません。

実際、スウェーデンの女性を38歳から60歳になるまでに追いかけた観察研究を見てみると「慢性的な心理ストレスに晒された女性は認知症リスクが150%上がる」という結果になっていますし、その他の先行研究でも鬱や不安症、肥満、老化、不眠、リーキーガットなど、ストレスに関するエビデンスには枚挙にいとまがないのも事実です。

つまり、適切なストレス解消法とワンセットで対策することが本当のストレス対策であるといえるでしょう。

オススメは、ストレス対策をリスト化しておくことです。これを心理学の世界では【ストレスコーピングリスト】と呼びます。コーピングとは"対処"という意味があるので、ストレスに対処する一覧表と思ってください。そのリストに、自分がストレスを解消できる方法を書き連ねていきます。どれぐらい書けばいいかというと【30個~100個】くらいがおすすめです。

というのも、コーピングリストが有効なのは「自分にはこんなに対処法があるんだ」という感覚になれることがポイントなので、それ相応の量が必要になります。ストレスを感じたらそのリストを取り出して、淡々と実践していきましょう。

これを聞いて「登録販売者の勉強だけで手一杯だから、100種類も書くのはちょっと・・・」という方もたくさんいらっしゃることでしょう。そこで「手軽なストレス解消法」として心理学的に正しいとされる100種類の方法をご紹介しましょう。私がこれらを参考にして実際に感じている個人的なメリットは次の3つです。

① お金がかからない
ストレス対策となると「お金をかけた方が効果的なのでは?」考えてしまう人もいるでしょうが、このリストは手軽且つタダでできるものがほとんどです。
② 飽きない
ヒトは良くも悪くも慣れてしまいますし、次の展開がよめてしまうものは、脳が退屈を感じてしまいます。
③ 間違った対策を防げる
何気にこのメリットは大きく、例えば「大声で怒りを叫ぶ」や「物を破壊する」といった行動をストレス解消に選択してしまう人がいますが、こういった行為はかえってストレスが増大してしまうことがわかっていたりします。

といった具合で私自身も効果を実感しておりますので、どうしても思いつかない方はこちらを参考にしてみてください。

さらに、登録販売者としてこの文献を参照するメリットもあります。「100種類の方法を知っている」ということは「100通りの切り口で接客応対ができる」ということです。もちろん100種類すべて記憶しておく必要はなく、リストをメモサイズにコピーしてポケットへ忍ばせ、接客時にストレス解消法の話題になった時に取り出して使えば、100種類の具体的なアドバイスがいつでもできます。

〈環境的ストレス解消法〉

  • 1. 素の自分を楽しむ
  • 2. アロマキャンドルを使う
  • 3. アロマテラピー
  • 4. パンやクッキーを焼く
  • 5. 照明を調整する
  • 6. 花を植える
  • 7. 自分用に花束を買う
  • 8. 好きなものを集めたコレクションを作る
  • 9. バードフィーダーを使って鳥の生態を観察

  • 10. 日なたぼっこしながら読書
  • 11. ホットドリンク・アイスドリンクを飲む
  • 12. 本を持って毛布にくるまる
  •   

〈認知的ストレス解消法〉

  • 13. 問題をよい方向にとらえ直してみる
  • 14. ポジティブな思考を選ぶ
  • 15. ポジティブな言葉を考えてみる
  • 16. ポジティブなアファメーションを実践する
  • 17. 自分の考えに責任を持つ
  • 18. 現実的な期待を持つ
  • 19. 望む結果を可視化してみる
  • 20. 鏡にアファメーションを貼る
  • 21. パズルやゲームに取り組む
  •   

〈創造的ストレス解消法〉

  • 22. 日記を書く
  • 23. 手紙を書く
  • 24. 絵を描く
  • 25. スケッチする
  • 26. 写真を撮影して午後を過ごしてみる
  • 27. 陶器を作る/粘土で作品を作る
  • 28. 編み物や刺繍をする
  • 29. ペットをなでる
  • 30. リラックスできる音楽を聴く/作曲する
  • 31. 楽器を演奏する
  • 32. コンサートに参加する
  • 33. 新しい趣味を始める
  • 34. ガーデニング
  •   

〈物理的ストレス解消法〉

  • 35. ダンス
  • 36. サイクリング
  • 37. 走る
  • 38. 自然散策・ハイキング
  • 39. 犬の散歩
  • 40. ウォーキングやマラソンのトレーニングをする
  • 41. スイミング
  • 42. シュノーケリング
  • 43. マッサージを受ける
  • 44. 足のマッサージを受ける
  • 45. ぬるま湯に足を浸す
  • 46. 湯気の立つ泡風呂を楽しむ
  • 47. ヨガクラスを受ける
  • 48. 太極拳の練習
  • 49. 漸進的筋弛緩法をおこなう
  • 50. 深呼吸を練習する
  • 51. エクササイズ動画をチェックする
  • 52. 健康的な食事をする

  • 53. 水を飲む
  • 54. マルチビタミンを飲む
  •   

〈ユーモア的ストレス解消法〉

  • 55. コメディ映画を見に行く
  • 56. お笑い番組を見る
  • 57. 漫画を読む
  • 58. 大声で笑う
  • 59. 新しい冗談を友達に教える
  • 60. 恋人と笑い合う
  •   

〈精神的ストレス解消法〉

  • 61. 祈る
  • 62. 瞑想する
  • 63. 感謝の気持ちを実践する
  • 64. 宗教的な礼拝に参加する
  • 65. ポジティブな歌を歌う
  • 66. 他者に奉仕する
  •   

〈管理的ストレス解消法〉

  • 67. 時間を管理する
  • 68. タスクに優先順位をつける
  • 69. 誰かに仕事を任せる
  • 70. 予算を作ってそれに従う
  • 71. 何らかの問題をひとつ解決してみる
  • 72. 部屋をきれいにする
  • 73. クローゼットや収納を整理する
  • 74. 目標を設定する
  • 75. 人生でやりたいことリストを作る
  • 76. 成功のイメージを思い浮かべる
  •   

〈関係的ストレス解消法〉

  • 77. 大切な人に特別な食事を作る
  • 78. 優しいトーンで自己主張する
  • 79. 友人に悩みを打ち明ける
  • 80. 誰かとランチする
  • 81. 友達に連絡する
  • 82. マニキュアをする
  • 83. 髪を切る
  • 84. 古い友人にメールを送る
  • 85. 社会的支援グループに参加する
  • 86. エクササイズクラスに参加する
  • 87. 自分の苦痛を受け入れる
  • 88. ボランティアをする

  • 89. 何か楽しいことをする
  •   

〈活動的ストレス解消法〉

  • 90. 公園のベンチに座って五感を使う
  • 91. 動物園や水族館を散策する
  • 92. 星をながめる
  • 93. ボート/ヨットで数時間を過ごす
  • 94. 景色がよい場所をドライブ
  • 95. 砂の城を作る
  • 96. 雪だるまを作る
  • 97. キャンプファイヤーで火が爆ぜるのを聞く
  • 98. 水辺をピクニックする
  • 99. 夕食に出かける
  • 100. ウィンドウショッピングする

いかがでしたでしょうか?
これで「ストレスはためないようにしましょう」という、毒にも薬にもならないぬるいアドバイスからも脱却できると思います。
そして本記事が、皆さまがストレスとうまくやっていくためのきっかけになることを願っております。

《参考文献》
Midlife psychological stress and risk of dementia: a 35-year longitudinal population study

ヤマナオ(登録販売者)

執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。

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