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【現役ドラッグストア店長直伝】会社指示とお客さまの要望の両立<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】会社指示とお客さまの要望の両立<登録販売者のキャリア>

登録販売者としてお客さまと接していて、時に会社の指示との板挟みになることはないですか?
皆さんそれぞれ社内での立場は違うとはいえ、お客さまと上司を含む会社指示の板挟みに悩む登録販売者も多いと思います。

今回はお客さまからの要望を裏切らずに会社指示を守るための方法を考えてみましょう。

目次

お客さまの要望と会社指示との乖離

お客さまの要望と会社指示との乖離

ドラッグストアで勤務するうえで悩むことのひとつに「お客さまの要望と会社指示の乖離」があります。
会社の利益を最大化するための施策がお客さまの需要と合わないのが原因なのですが、この問題の解説策を考えてみましょう。

登録販売者の悩みでもっとも多いものは

登録販売者からの相談でもっとも多いもの、それは「会社指示の目標に届かない」というものです。
目標は「医薬品の売上が〇円」「推奨品Aの売上が〇円」といったものですが、通常通りの動きでは全く届かないばかりか目標数値の半分にも満たないこともあります。

そして「〇〇店は日程進捗割れしています」「〇〇店はまだ売上がゼロです」といったメールを見て焦り、必要なさそうなお客さまにムリに販売したり最悪は自腹を切ったり...といった光景をよく見聞きします。

自店の社員などから悩みや相談を受けることもありますが、その大元はこの指示と現実との乖離が多くを占めます。

  • 「目標に届きそうにありません」
  • 「どうしたら買ってもらえるのか分かりません」
  • 「そもそもこの商品が必要なお客さまがいません」

皆さんも多少は身に覚えがあるはずです。
こんな時どうしたらいいのか、対応方法を考えていきましょう。

「売りたい商品」と「売れる商品」が違う

よく私たち販売者側が考えてしまうのが「売りたい商品」「売れる商品」が違う、という点です。
確かに売上実績などを見ると一目瞭然で、推奨品などは力を入れなければ全く販売数は伸びません。

「売れる商品」は何もしなくても周知されているためセルフ販売が可能で、価格競争になりやすいため利益が低く「売りたい商品」は周知されていなかったり新商品のためセルフ販売が難しく、価格競争にならず値崩れしていないため高利益品です。
当然この「売りたい商品」を売れる店にするには工夫や努力が必要となります。

それには売場展開や接客は必須となるのですが、ここでは接客について解説していきましょう。

「需要が少ない商品」と「認知されていない商品」

「売りたい商品」は一言でいってしまえば「売れない商品」となりますが、需要がないのでしょうか?
ほとんどの場合、需要は「ある」のです。

需要がない商品を発売するほどメーカーの調査は緩くありませんし、そのような商品を採用するほどドラッグストア各社の商品部は杜撰な商品選定はしていません。
商品とお客さまの需要の間にある「線」は、必ず存在します。

商品とお客さまの間をその「線」で繋げるのが、登録販売者の仕事でもあるのです。

またそのような商品は多くの場合、知名度が低くお客さまに認知されていないだけの場合もあります。
つまり「売りたい商品」はお客さまに認知されさえすれば大きく販売数を伸ばすことも可能な商品なのです。

逆に「需要が少ない商品」も定番商品の中に存在しますが、品揃えとして機能や用途としての欠落を防ぐためにも「需要が少ない商品」は必要です。
このような商品は大幅に販売数を伸ばすことはできないのですが、推奨品のように「売りたい商品」は必ず需要がある商品が選定されています

皆さんの会社にも売り辛い商品の販売が得意で大きく数値を伸ばしている店舗があるはずです。
そのような店舗はお客さまと「売れない商品」を線で結ぶのが得意な店舗といえるのです。

会社指示を意識しつつお客さまの利益につなげる

会社指示を意識しつつお客さまの利益につなげる

「売れない商品」、つまり推奨品の販売数を伸ばすことは不可能ではありません。
ただ闇雲に商品提案していても売れることはありません。

そこにはお客さまの需要や購入に対する様々な障壁が存在します。
決して無理せず、お客さまに納得いただいたうえで購入していただける方法を考えていきましょう。

お客さまにとって「必要のないもの」の基準とは

お客さまにとって必要のないものとは何かを考えてみましょう。
あなたにとって必要のないものは何かを考えてみてください。

大きく分けて「効果」と「価格」のふたつが要因です。
つまり「必要ない・使わない」「高すぎる」というものです。

私たち登録販売者から見て有用な商品でも、お客さまから見るとその商品のメリットが自身に合うものではない、メリットが想像できない...ということです。
これは指名買いや有名商品と競合したのなら仕方のない面が強いのですが、もし登録販売者がお客さまに相談され、接客したのにこの結果になったのなら、登録販売者の商品説明が不十分だったりお客さまの「悩みの本質」に辿り着いていないのが原因です。

的外れだったり強引な商品提案をおこなうとお客さまから「必要ない・使わない」という判断をされてしまいます。
お客さまの反応から購入に至らなかった原因が価格でなかったのなら、接客が的外れだった可能性があります。

商品を理解している登録販売者こそこのパターンに陥りやすく「なぜ分かってくれないのだろう」という他責思考に陥りやすいので注意が必要です。

お客さまの心の中を覗くことはできないため、売りたい商品を販売するには「お客さまの悩みの本質」を理解することが必須となります。

本当に必要な商品とは

お客さまの悩みの本質とは何なのか、考えてみましょう。

例えばお客さまが「肩こり」の症状を訴えて来店されたとします。
ここで湿布薬や鎮痛剤などの対症療法で対応することでお客さまの需要を満たすことは可能です。

こうした場面では推奨品のビタミン剤をお勧めするのがよくあるパターンですが、これは「ベター」です。
お客さまの「悩みの本質」を接客の中で探っていくと商品の選択肢はぐんと増え、お客さまにも店舗にも利益をもたらすことができるのです。
ここまでできるとお客さまの生活の質を改善できるため、「ベスト」の接客となるのです。

この話をすると「クレームになりそう」と言われることがあります。
お客さまが帰宅してから考え直して返品されたり、店舗への不信感から再来店され亡くなったり...と危惧するスタッフも多いのです。

先ほど「売り辛い商品の販売が得意な店舗」の例をあげましたが、そのような店舗は継続的に売上をつくり続けています。
該当商品も同じくリピートされ続けているので販売が伸び続けるのです。

つまりクレームになるような販売方法は「お客さまの潜在的な需要」を掘り起こしていない、お客さまに「気付かせることができていない」のです。
「確かに、言われてみると私にはこのような商品が必要だったんだ」と思わせないと、離反につながってしまうのです。

お客さまの悩みと商品を線で結ぶ

お客さまが自身で気付いていない「悩みの本当の原因」を探るにはどうしたらよいのでしょうか。
結論としては、質問して引き出すしかないのです。

皆さんは「売りにくい商品を売る店舗(人)は何かとっておきのセールストークを持っているに違いない」と思っていないでしょうか。
実はそうではなく、そのような店舗や人は「お客さまの悩みと商品を線で結ぶのが得意」なのです。

もしとっておきのセールストークや販売方法があるのなら特定商品だけしか販売できないでしょうし、そもそも会社やメーカーがその方法を広めているでしょう。
「特定商品を販売する必殺技」など存在しないのです。

よく「好事例」として多店舗で販売できた方法が社内で共有されることもあるでしょうが、これも本質的な販売手法ではありません。
本当の販売方法は、もっと深くお客さまの生活に思考を踏み込む必要があるのです。

実績を伸ばす店舗はどのようにして販売しているのか、具体的に考えてみましょう。

目標数値を目指しつつ顧客満足度を上げる具体的な方法

目標数値を目指しつつ顧客満足度を上げる具体的な方法

実績を伸ばしつつ、お客さまの要望に沿った商品提案をおこなう具体的な方法を考えてみましょう。
方法の概要は「掘り下げて横展開をおこない、選択肢を増やしていく」というものです。

薬機法を守ったうえで、医薬品以外にも視野を広げて商品提案をおこないましょう。

お客さまの生活を分解して考える

例えば「肩こり」を訴えられたとき、あなたならどう対応しますか?
湿布薬だけ...ではないですよね?

おそらく「湿布薬」だけでなく「ビタミン剤」「使い捨てカイロタイプの一般医療機器」などをお勧めする方が多いはずです。
しかしここでもう少し深く掘り下げると「そもそも肩こりが起きなくすることも可能」なのです。

お客さまにもう少し聞いてみましょう。

  • 肩こりになる生活の要因
  • 肩こりがなかったときとの生活の違い
  • 生活リズムの乱れ
  • 眼精疲労や頭痛などの有無や疾病...

例えば不眠に陥って布団の中でスマートフォンをみていることから眼精疲労になり肩こりを誘発しているのかもしれません。
もしかしたらお客さま自身で片頭痛と思っているのが緊張型頭痛で、肩こりも併発しているのかもしれません。
四十肩などで受診勧奨をおこなうべきなのかもしれません。

このように考えると「肩こり」だけで多種多様な商品が思いつきますが、これが横展開なのです。
OTC(一般用医薬品)だけでなく、入浴剤やアイマスク、ボディマッサージクリームなども視野に入ります。

他にも「胃もたれ」や「慢性疲労」など横展開しやすく商品を提案可能なジャンルは多数存在します。

商品を自分の中で選定する

お客さまに思いついた商品をすべて提案するとパニックになってしまうため、ある程度ふるいにかけたうえで提案しましょう。
もちろん持病や他の医薬品の使用を確認したうえで、「使用感」「使用回数」などを考慮し選定します。

すべて頭の中に入れられるのなら構わないのですが、苦手な方はお客さまと話しながら売場の商品を目で追いながら探しましょう。

「症状別に対応した商品」を覚えるのではなく「その商品がどの症状に対応しているか」を覚えておいた方が提案しやすいので納品や前出しの際に少しずつ商品をチェックしていると自然に覚えられます。

そしてお客さまの反応をみながら雑談のような口調で話していくとお客さまも心を開いて話していただけます。
「そういえば寝るときにスマホ見ちゃうわ」「わかります、僕もYouTubeとか観ちゃいます!そして目が冴えてしまうんですよ!」「そうなのよー困っちゃうわ」

こんな感じで堅苦しくなく探っていけば、需要はどんどん引き出せます。
難しいと感じる方は「私もそうです!」「わかります、本当にそうなんですよね!」のふたつだけ覚えておくと驚くほどお客さまも話していただけるので試してみてください。

提案する商品数はひとつではお客さまも躊躇してしまいますので、必ず2~3点の商品を提案し、お客さま自身に選んでいただくのが重要です。
売りたい気持ちは分かりますが、ひとつだと「押しつけ」と感じてしまうのです。

選んでいただいた商品が「売りたい商品」でなくても、感謝の言葉にくわえて「効果をまた教えて下さいね」と添えると好感度がアップします。

売上を目標に近づける基本的な考え方

最後に、売上や実績を目標に少しでも近づける考え方に触れておきます。
これはわたしも店舗のスタッフに伝えていることですので、ぜひ参考にしてください。

小売業で従事していると以下の公式に触れることが多いはずです。

『売上=客単価×客数』

これは店舗全体にも各部門にも、そして単品にも当てはまる「商売の基本」でもある公式です。
単品、例えば推奨品に言い換えるとこうなります。

『推奨品A実績=平均単価×販売個数』

実績を伸ばすにはどうしたらいいのでしょうか?
それは店舗売上も単品実績も「お客さまひとり当たり(商品ひとつ当たり)の金額を上げる」か「人数(個数)を増やす」、このふたつしかありません。

これはどんな商売にも当てはまる原理原則です。
では実際の業務ではどうしたらいいのでしょうか?

それは「ひとりでも多くのお客さまにお声がけをおこなう(客数)」ことと、「信頼される商品提案をおこない、リピートしていただいた際に大容量を購入していただく(客単価)」このふたつです。

難しいから...と、安直なセールストークを求めるのではなく、お客さまのお悩みの本質を引き出し解決に導くことが、店舗や個人の評価を高めることにもつながるのです。

まずは基本的な商品知識をひとつずつ身に付けること、できている方は更なる上積みを目指しましょう!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

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